地車(だんじり)のプラモデルを作ってみた
来週末に地元の後輩が結婚するのですが、それが地車(だんじり)大好きな女の子でして、式場に地車の模型を飾りたい様なのですが、プラモデルは作り方ぎ分からないとのことで、私が引き受けて作ることになりました。
依頼者からはこれに近づけるよう依頼を受けております。
とはいえ、プラモデルなので、彫り物とか似せられないので、近づけられるところは装飾関係でということになります。
欄干とかを塗ることもできますが、そこは塗装の資材がなかったので、とりあえず塗っていません。
地車とは?
関西地方に多い山車の一種です。
軍記物や神話などの彫り物が全体につけられており、全体はほぼ欅(けやき)で作られています。金具などの装飾以外には釘を使わずに組み立てらてており、岸和田型など様々な様式があります。
9月中旬に行われる岸和田地車祭りが全国的にも有名ですが、大阪や兵庫、淡路島など瀬戸内周辺で行われています(土地ごとに多少の形の違い、祭りのやり方の違い、開催時期の違いがあります)
堺市の西区、中区以南の大阪府。つまり泉州地域では、9月から10月にかけて五穀豊穣を氏神などの神々へ祈願・感謝のお祭りとして盛んに行われています。
大阪の地車は、住吉型、堺型などといわれる上地車が主流でしたが、近年は岸和田と同じようにやり回し(辻を高速で直角に曲がる)が盛んに行われるようになり、地車新調時には岸和田型(下地車)を発注する町が大半となってきています。
岸和田型の地車は、高さが4m近くあり、重さも5t程度となっています(サイズによって高さ、重さに差はあります)。全て欅で作るので、新調時には樹齢が数百年の太い欅が必要であり、全体に精巧な彫り物がついていますので、新調時の価格は軽く1億円を超えてしまいます。資金は村々の人々からの寄付で賄われますが、村有財産(池など)を売った資金が使われる場合もあります。
組合のサイトに掲載されていない工務店さんもあります。
大鳥地車は岸和田の吉為工務店さんで新調されました。新調前の先代地車は岸和田の植山工務店で昭和初期に新調されています。
木下彫刻工芸は、上記写真の大鳥地車の彫り物を担当した彫り師さんです。
前田工房は大鳥地車の彫り師さんではありませんが、棟梁の前田さん自身が鳳で祭りに参加しており、同じ鳳の長承寺地車が新調した際にその彫り物を担当されました。
地車祭りは、地車の走る勇壮な姿が見ものですが、地車そのものが走る工芸品でもありますので、休憩時の停車時などに彫り物をゆっくり見て回るのもいいかもしれません。
プラモデル作成
足回り
足回りから作っていきます。
とは言っても台木部分については、プラモの金型プレス時に組み上がった形でプレスされているので、作業はいたって簡単です。
地車のタイヤ部分は駒(コマ)と呼ばれており、各地車のサイズに合わせて真円に削られた松の丸太を使用しています。
ただ、近年は丸太を削ったものではなく、松材を組み合わせた組み駒や合成駒なども使用されており、各地車の曳行スタイルや天候によって履き替えています。
プラモデルでは、当然駒もプラスチックです。
芯棒を通して、台木につけるだけです。
後ろ梃子の取り付けです。
地車にはハンドルがありませんので、この後ろ梃子で方向転換、軌道修正を行います。
この後ろ梃子には片側3〜4本。緞子と呼ばれる綱がついており、後ろ梃子の人々が引っ張ることで地車の向きを変えます。
後ろ梃子の人糸の組織は、概ね拾伍人組や弐拾伍人組と呼ばれています。
後ろ梃子の上部分には旗台を設置。実際の地車は後ろ梃子は取り外し可能ですが、プラモデルの場合はそのようにすると旗台の装着が不安定になって後々旗台をなくすことが必至なので接着剤で梃子ごと固定してしまいました。
前の部分です。
前梃子を受ける「つつみ」と呼ばれる部分があります。本物は麻のロープで巻きます。
各地車で若干の形の違いがありますが、概ね同じような形になっています。
プラモデルだとつつみもプラスチックのパーツが付いているのですが、園芸用などの麻紐が代用できるので、ここだけ付属パーツを使わずに仕上げました。
見送り
地車の小屋根(後ろ側の一段低い屋根)の下部分にあたります。
柱部分以外はスペースがあるので、合戦風景などが立体的に表現されている部分になります。合戦の木製ジオラマといえば分かりやすいかと思います。
本物だと多くの武将の彫り物があったりしますが、プラモでは見送り部分の彫り物は2つだけです。
その上、若干やらかしてしまったのが、見送り部分を組み当ててから彫り物パーツのつけ忘れがわかって、後々隙間から差し込んで組み立てたので少し浮いてしまっています。
小屋根
大屋根
大屋根(前方の高い方の屋根)は、切妻、入母屋、二重破風の3タイプがついていますが、大鳥地車同様に切妻を採用。
屋根部分は枡組(細かい棒がニョキニョキと出ている部分)などのパーツを接着させる際に、手で押さえておくと指が痛いです。
組み立て
実際には前方の太鼓などを積む部分、腰回りの組み立てもありましたが、単体での写真を撮り忘れました。
大太鼓部分には革を貼るわけにはいかないので、紙を張っています。
ただ、塗装にした方が良かったかなぁ?
組み立て手順としては、腰回りと見送りを台木部分にのせ、そこから順に上を取り付けていくだけです。
完成
とりあえず、地車そのものは完成です。
実際の地車は、後ろに町名や御祭禮と書かれた旗、鳴り物が乗るところの赤幕、金綱。乗り降りするための梯子がありますので、そういったパーツを取り付けて完成になります。
これら追加部分については、また後日掲載します。
以上、地車プラモデルの作成過程でした。